11月のマンスリー ゲスト 金野 典彦さん
インタビューを終えて
2年前の秋、大船の仲通り近くの一角に開店準備が進む異彩放つスペースの様子を興味津々で眺めていた。それが本を扱うお店とわかるとその佇まいから きっとただの本屋さんではないぞ、とオープンを今か今かと待ちわびた。
店名は「ポルべニール ブックストア」。11月にオープンするや訪れると店内にある黒板にそれが「未来」という意味であることがわかるフレーズが書かれていた。
木の香りが広がる心地よい空間で、気になる一冊一冊を手に取ってみる。間違いない。ここは「あなた=わたし」のための本と出会い、そしてその本を通して未知の世界ヘの扉を開けてくれる場所だ。
いったい、このお店のオーナーはどんなストーリーをお持ちの方なのだろう。いつかお話をきいてみたい。そんな思いをずっと携えていたところ、不意に「そのとき」がやってきた。
かまくら駅前蔵書室で偶然目の前で本を読んでいらした金野さんを室長の鈴木さんが紹介してくださったのだ。鈴木さんの人を導き、つなげるこのお力にも改めて敬服。
そして翌々月に迎えた収録の日、長谷のスタジオにいらした金野さんは、まず「ちょっといいですか?」とスタジオ周りの探索をはじめる。その場をご自分の目と感覚で確かめる。そして好奇心と感性の赴くままに軽やかに動く。旅人のお姿、ありようだ。
旅の原動力でもある金野さんの旺盛な好奇心や旅を通してさらに磨かれた感性、直感力が選書にもあらわれている。そして、それが唯一無二の空間をつくり上げている。 日々、本棚を耕し、育て、新しい息吹を取り入れることで 常に新鮮な気に満ちているのだと感じる。
その地域の人々の暮らしとともにある場。そして、自身の仕事と暮らしの拠点が近いこと、職住近接等の動きはコロナ禍で加速しているけれど、金野さんはもう随分前からご自身らしい形でそのことを実現されている。
本もラジオも「みんな」ではなくて、「あなた」にメッセージを届けるパーソナルなメディアとして親和性が高いと金野さん。「あなた」のために届ける声、について改めて思い、背筋が伸びた。
コロナ禍で「あなた=わたし」のための本と向き合う方も増えたのではないだろうか。
一時お休みしていたボルベニール ブックストアでのイベントも少しずつ再開され、
様々な方が関わり、金野さんを中心にまちのみんなでつくり上げていく
ますます風通しのいい自由な場となるイメージ、今また膨らんでいます。
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