収録を終えて:
15年以上前のこと。鎌倉山のカフェ、ジョワ・ド・ヴィーヴルに友人や家族と訪れ、相模湾を眺め、風を感じながらゆったりとした時空間を共有した思い出がある。島田さんとの出会いで期せずして、「あの頃」にタイムスリップすることとなった。
オーセンティックで大人の遊び心もきいたスタイリッシュなインテリア。お庭のハーブの香り引き立つ美味なるひと皿ひと皿にもどこか旅をしているような心持ちとなり、当時まだ子供が幼かった母親通しで子育て以外の話にも花が咲いた覚えがある。オーナーである奥様から、ご主人は建築家と伺っていたけれど、時を経て、そのご主人と鎌倉アカデミアがつなぐご縁でお会いすることになるとは。なんとも不思議でうれしい巡り合わせ。
島田さんの設計事務所 at peace architectsに伺い、現在はコンセプトホームである思い出の空間に足を踏み入れた瞬間、懐かしさと共に、今だからこその心踊る感覚があった。そんな特別な思いも携えながら、ほんの一片ではあるけれど島田さんのライフストーリー、建築家としてのフィロソフィーをお聴きする贅沢。心地よいリズムの語り口と奥行きある表現、お話に時を忘れて。
建築家としては、異例のキャリアの重ね方なのだろう。だからこその独自性も際立つ家づくり、場づくりへとつながったところもあるだろうか。固定観念やノイズにとらわれることなく 常に問い、物事の本質や根っこを捉えようとする姿勢が一貫して感じられて。
個人宅であれば、家主、ご家族がこれからどんな人生を送りたいのか。店舗や事業の場であればビジネスそのもののビジョン、公共の施設であれば、地域、コミュニティの理想のあり方とは。場をつくる、建築を進めるにあたってクライアントに真っ直ぐに向き合い、対話を重ねてこれからを設計していく。
島田さんとお話をしていると私の中の建築家というお仕事の概念もアップデートしていくけれど、ご自身はいたって自然体で信じる道、姿をかたちにされているのかもしれない。建築を通して、目の前のひとのこれから、心の平和を思いながら。
そんな島田さんが、プライベートからパブリックなスペースまで、ここ鎌倉でどのような新しい場や文化を創り出していくのか、これからがまた楽しみでなりません。