3月のマンスリー ゲスト 黒田 幸代 さん

インタビューを終えて:

奥鎌倉と呼ばれる浄明寺エリア。急な坂を登ると、広い空と方形屋根が目を引く邸宅があらわれる。玄関までのアプローチで既にテンションも上がり始める。御宅訪問もギャラリー探訪も大好物。それを同時に叶えてくれる唯一無二の空間がここにある。


「ギャラリーに住まう」ことを黒田ご夫妻だからこその形で 実現しているクアドリヴィウム オスティウム。ラテン語で「十字路の入り口」を意味し、私邸の一部を古美術品を扱うギャラリーとして 昨秋オープン。遥かなる旅路を経て、今ここにあるものたちから感じられる息遣い。現代の暮らしの空間に溶け合い、調和し、そしてまた次の方に手渡されていく出会いの場でもある。


ギャラリー訪問に先立ち、幸代さん主宰の「古美術に触れて愛でる会」に参加。6人ほどのグループで、目の前にある古美術品を愛で、触れ、感じることを語り合う。V T S(Visual Thinking Strategy)というアメリカ発祥の対話型鑑賞がベースのワークショップ。ファシリテーターの幸代さんから事前の情報、インプットはなく、また知識や見識がなくても心地よく参加できる空気感。悠久の時を経て目の前にあるものに向き合い、そっと触れ、語りかけてくれることに耳をそばだて、感じるままを口にしてみる。他の方々の言葉にも耳を傾け、そして分かち合う。胸のあたりがじんわり。なんだろう、この感覚。今ここにいる古美術品の背景にある物語や手にしてきた人々のことを想像しながら、経験したことのない対話を重ねているような豊かな時間。


これまで どこか遠い存在だった「古美術」が、クアドリヴィウム オスティウム、そしてそのオーナーの黒田幸代さんとの出会いでグッと近くに。初めてのギャラリー訪問では、2時間以上だったか…あまりの心地よさにすっかり長居。聞き上手の幸代さんに気がつけば色々なお話を。自然と相手の心を開く方。そんな飾らないお人柄の幸代さんが導いてくださるからこそ、ここにある古美術品の一つ一つもひらくようにメッセージを放ち、語りかけてくれるのかな。

エネルギーに癒され、時に触発され、ともに呼吸する。暮らしの場でこうしたものたちから 日々いただくちからは住まうひとのお人柄や生き方にあらわれてくるのだろうな。

古美術品との出会いから そんな豊かさにも気づかせてくださる幸代さん。

これから、また ならではの多彩な趣向で新しい出会いの場を創り出していかれるよう。

古美術ファン、共感の輪が、ここ鎌倉から いよいよ広がっていきそうな春です!

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