9月のマンスリー ゲスト 草間 久美さん
インタビューを終えて:
草間さんに私が初めてお会いしたのは2019年、2年前の12月のこと。地球市民交流会(GCI)の主催する「災害通訳入門講座」に参加した際、GCI鎌倉の代表として草間さんは講座全体を円滑に そして しなやかに進めていらした。「災害時」を想定しての講座となると ややもするとカタイ空気に包まれそうだが、時にユーモアを交えながらのお話や進行の様子に参加する私たちも自然と肩の力が抜け、その内容に入り込むことができた。安定したお話のテンポやトーンも安心感と信頼感につながっている。そうか、このカンジ。クールで冷静沈着すぎるわけはなく、しっかりとした「体温」ありつつ、発信するメッセージには無駄がなく、簡潔に伝わってくる。うん、やっぱりこのカンジ、大切なのだろうな。
中国語をベースに、通訳ガイドから、医療通訳、そして災害通訳とその時々にご自身が出会い、「これだ」と感じたことにひとつひとつ向き合ってきて、今の草間さんがあることが伺える。所属されている医療通訳を行うMICかながわの活動理念は「ことばで支えるいのちとくらし」。そしてGCIでもことばの壁や制度を超えた在日外国人への多言語支援を様々な場面で仲間と重ねていらっしゃる。
有事を想定した時、特に重要となるという「情報」と「ネットワーク」の構築のため日頃からその足腰を鍛えていらっしゃる様子もしっかりと伝わってきた。最近では、「災害時」そして「医療」という草間さんが向き合う通訳の現場、それらがまさに融合した形ともいえるJ-MIND(Japan- Medical Interpreter Network for Disast:日本災害医療通訳ネットワーク)の活動とも繋がり、平時から「顔の見える関係」をつくり、準備しておくことに余念がない。
「国破れて山河あり」。高校時代、恩師の朗読による漢詩の言葉、響きの美しさに感銘を受けたのが中国語との「出会い」という草間さん。国際情勢や国家間の問題に目を向けると 受け入れ難いことも多々あるけれど、この「美しさ」がある限り「嫌い」になれないというお話が印象に残った。変わらず「美しい」もの、こと。それは私にとっては何だろうか。そんなことにも思いを巡らず機会をくださった。
この状況で減ってはいるものの、海外から鎌倉にいらした方々が、もし何かの災害に遭遇したら、私たちにできることとは。そしてその時のために日頃からできることは何か。自分なりの答えやそのヒントを探る時、草間さんのお顔が浮かぶことは間違いなさそうです。
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