2020年1・2月のマンスリーゲスト 加藤茂雄さん

インタビューを終えて
加藤さんに初めてお会いしたのは いつのことだったろうか。このように目の前にしてお話を伺うずっと前のこと、壇上に立たれるお姿を遠目から拝見していた頃のことだ。


終戦直後に卓越した知識層を教授陣に迎え、イノベーティヴでユニークな教育を実践していたという「鎌倉アカデミア」に強く惹かれ、その「伝える会」に初めて参加した時だろう。実行委員長の加藤さんが当時の様子を臨場感溢れるトークで伝え、光明寺の会場を一つにしていた。3年前に加藤さんが絵本「茂さんー鎌倉長谷のむかしむかし」を出された際の出版記念トークイベントでは もう少しだけ 近くでお話を聴くことができた。


鎌倉、長谷の別荘文化の中で育った幼少期、子供の遊びの中に世の中の仕組みについての学びがあったそう。軍国青年となった時を経て、終戦ののち鎌倉アカデミアに入学。その時代時代の体験のほんの一部を伺うだけでも 加藤さんの物事に対する真っ直ぐな姿勢を感じ取ることができる。一つ一つの出会いをとても大切にし、そこから得た教訓を深くご自身の中に取り入れてこられた様子がうかがえる。


今回、ずっと目標にしてきたことのひとつ、加藤茂雄さんにラジオで、番組でインタビューをすることができた。 鎌倉の温かな人のつながりや心強いサポートがあってこその実現に心から感謝している。
目の前でお話をされる加藤さんはとても朗らかで快活で、そしてとても鋭い。人を魅了する空気感をまといながら、時に鋭角に物事の本質に切り込んでくる印象。


70年以上の俳優生活、いわゆる端役として千人以上の役を演じ、千冊以上の台本を読み、そして昨年初めての主演映画が公開されて話題となった。「93歳になって、まさかこんなことになるとは!これもずっと大部屋俳優を続けてきたからこそ」と笑顔を見せてくださる。

なんとも、チャーミングで、敬愛すべき方です。


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加藤茂雄さん
俳優、漁師。
1948年鎌倉アカデミア演劇科在学中に「春の目覚め」で初舞台を踏み、1950年に東宝と契約。黒澤明「生きる」「七人の侍」。本多猪四郎「ゴジラ」など数え切れないほどの名作映画、またテレビの作品に出演。2019年、初主演映画「浜の記憶」が公開となる。
長谷在住、94歳。

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加藤茂雄さんが6月14日 その生涯の幕を閉じ、永眠されました。
95歳のお誕生日の2日前でした。

加藤さん、

笑顔とユーモアと教えとたくさんの感動をありがとうございました。
心より、ご冥福をお祈りいたします。





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