収録を終えて:
共にモノを「つくる」こと。 そのプロセスや先にある思いを共有し、つながること。そしてそのための開かれた環境があること。それがひとの学び、これからにとってどれほどの意味や可能性を持つことか、渡辺さんのお話やあり方から深く伝わってくるものがあった。
もう10年以上前のこと、初めてFabLab Kamakuraを訪れたときの高揚感は今も忘れない。古く趣ある白い蔵に、一歩足を踏み入れると初めて目にするイノベーティブな空間。この地域に開かれた実験工房で代表の渡辺ゆうかさんにお会いできた時のことを。時が巡り いつかスタジオでゆうかさんにお話を伺いたい、と長く携えていた思いが叶った。なんともありがたきこと。
ナチュラルなスマイルであたたかさを放つクールビューティー。物事を俯瞰し 論理的に捉え、考えを構築しながら、自らの直感、閃きを大切にし、動く。自然体で感度高く バランス感覚と とびきりの行動力を持つ方、いやそれだけに とどまらない私のなかの ゆうかさんの印象。そうした魅力がどこから来るものなのか、興味津々でお話を伺ううちに「環境」という ひとつのキーとなる言葉が浮かび上がってきた。
高校卒業後 渡米へと自らを突き動かした背景には、おじいさまの影響もおありだったそう。その後も未知の、心惹かれる環境に飛び込み、まるでご自身をいい意味で実験台のようにして新たなチャレンジを重ねてこられた様子は ゆうかさんならではと映る。そして、その環境には 次の道を拓き、天職へと導くキーパーソンたちの存在があったよう。
FabLab Kamakuraの国内外さまざまな官民の組織やアカデミア、ローカルのプロジェクト等との共創は多岐に渡り、これまでになかった環境、出会い、多様な人たちが新たな可能性をひらくチャンスを生み出している。
垣根を超えて どんなひとたちと どんな時空間で「つくりながら」共に学び、つながりを深めていくか。
これからもその仕組みや舞台、「環境」を 時に既存の枠組みを超えて創っていかれるのだろうな。
好奇心を原動力に実験も重ねながらの渡辺ゆうかさんの旅、これからにも興趣が尽きないのです。