収録を終えて:
落ち着いたオトナな語り口、時にみせる少年のようなピュアな笑顔。
カマクラシック オーケストラのこと、ご自身のことを伺うと、謙虚さと大志の絶妙のバランスとともに二十歳のアンバランスな魅力があらわれる。目の前の阿部晶太郎さんが「今しかない 今」を生きていらっしゃる様子が活き活きと伝わってくる。
あべしょーさんとは、鎌倉のイベントなどでお目にかかったり、挨拶を交わすことはあっても、じっくりとお話しするのは初めて。収録に際しての打ち合わせではカマクラシック オーケストラのことはもちろんのこと、今向き合っていらっしゃる様々な「学び」の幅広い話題におよんだ。これまでに存在しなかった組織を一人で立ち上げ、率いる中で体感したブレイクスルー。大学での専攻等に加え、哲学対話や建築のこと等、カラフルな話題に世代の違いも忘れ、時に深く共感しながら没入、好奇心の扉を開けることができたことは私にとってもありがたい体験。
クラシック音楽が身近にある環境に生まれ育ち、自らも演奏者として楽器に親しみながら、大好きな音楽とともに歩んでこられたあべしょーさん。ご自分の在り方や役割について思い悩んでいた時期もあったよう。そんな時を経て、自らの力で奮起したからこそ生まれたカマクラシック オーケストラ。一つの契機ともなったのがTOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminarへの参加だったそう。カマクラシック オーケストラ立ち上げへの道のりを綴った英語のスピーチからは、鎌倉とクラシック音楽へのご自身の「好き」を軸に、前人未踏のチャレンジを果たす思いや手応え、behind the sceneが鮮やかに立ち上ってくる。
鎌倉とクラシック音楽の重なりが新しい人のつながりをつくる。ここだけにある居場所、ひとりひとりが輝く役割が生まれる。それは創設した阿部晶太郎さんご自身にも還ってくるのだろうな。この先、鎌倉のどんな景色を見せ、溶け合う音色をきかせてくださるのか、楽しみでなりません。
カマクラシック オーケストラ待望の第2回演奏会。
2025年1月11日、鎌倉芸術館 大ホールにて。
響け、鎌倉。